忍者ブログ

佐久間マリのオリジナル小説ブログ 18才未満の方の閲覧はご遠慮ください

   
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

エブリデイ キス!(3)
(3)

 まぶしい日差しを遮るのは、カーテンと呼ぶより、生成り色のつり布と形容するのが正しい代物だった。カーテンレールは機能してなくて、橋渡しにしたロープにクリップで吊ってあるだけ。
 暗いとも明るいともいえない部屋の窓際に置かれたベッドで宗久が覆いかぶさって来て、乳首を舌で転がす。
「だからっ、んっ、昨日いっぱいしたじゃ……ない……んん」
「いっぱいって二回じゃん。もっとしたかったのに、桃子寝ちゃうし。せっかく箱で買ってきたんだから使わなきゃ」
 信じられないことに宗久は、在庫最後のゴムを使った後、私がシャワーを借りている間になんと近くのコンビニへ買い足しに行ったのだ。
 一回し終わると当然電車などない時間で、私は、帰った方がいいかな、でもここからだとタクシー代が結構かかるしできたら泊めてもらいたいなとかそんなことを考えていたから、お風呂から出て、小さなカフェテーブルに投げ置かれたコンビニの袋からカラフルな四角い箱が覗いているの見たときは思わず二度見した。
「あ、買ってきた」
「ええっ? ホントに?」
 神山さんはバスタオルを身体に巻きつけただけの私を一瞬軽く抱きしめて、
「俺もシャワーしてくるしちょっと待ってて?」
「あ、うん……」
 ちゅ、とキスをされた。
 神山さんがいなくなると私は一人で落ち着かない。着替える服もなくて、バスタオル一枚でソファに座るのもおかしいし、仕方なくベッドで横になって布団をかぶった。まるでやる気満々で待ってるみたいで恥ずかしいけどけしてそーゆーワケじゃないから!
 すごく肌触りのいいオフホワイトの毛布は、すっかり知ってしまった神山さんの匂いがする。
 神山さんの部屋は、パソコンとか雑誌とかなんかいろいろごちゃごちゃしてる。
 ぱっとみたところ、女性の存在を感じさせるものはない。彼女はいないって言ってたけど、本当のところはわかんないし。
 コンビニの袋には、ペットボトルの水と一泊分の基礎化粧品のお泊りセットも一緒に入っていた。ありがたいというか変に気が利くというか。ゴムといい、彼女じゃないコをお持ち帰りしましたって店員さんにバレバレじゃん。
 置き化粧品がないってことは、特定の彼女はいないということでそれは間違いないもかもしれない。そういうのを隠す暇もなかったし。あ、もしかして私のシャワー中とか?
 あーあ、やだやだ。そういう邪推は今はやめよう。もうなるようになったんだし。
 そりゃ神山さんのことはずっと気になってたし、好きか嫌いか聞かれれば好きだったし。偶然とはいえ今夜二人きりのチャンスがあって、これから恋が始まるのかなって期待したのは一瞬だった。いや、ある意味始まったのかな、身体から。いやいや、一晩限りのお付き合いかもしれないし、なし崩し的にセフレとかそういう可能性だってある。
 最近の恋愛は好きとか付き合うとかナシなのかな。片思い期間中のときめきとか、ロマンチックなストーリーなんてなくて、現実ってこんなものなのかもしれない。
 前の彼氏と別れて二年。そろそろ私も結婚を視野に入れたお付き合いがしたい。だから、こんな恋愛を望んでるわけじゃないんだけどな。っていうか、それもこれも神山さんとのこれが恋ならの話だけどなんて、もっとレベルの低いところにいる私。結婚前提なんてはるか遠い。
 そんなことを考えているとバスルームのドアが開いた。ボディーソープの香りの湯気と一緒に上半身裸の神山さんが出て来る。
「お待たせ」
「うん」
「あー、部屋寒かった?」
「ううん」
「あ、そっか。ごめん。俺のTシャツでよければ貸すわ」
「うん」
 下はスウェットパンツをはいていて、一応その辺のマナーというか配慮というか遠慮はあるらしい。真っ裸で出てこられたらさすがに引くもん。
 それにしても、濡れた髪をタオルでガシガシとしている仕草に見惚れちゃう。神山さんはムキムキじゃないけどガリガリでもない。腕とかはそれなりに筋肉ついてるしベストな感じだ。私はどちらかというとマッチョよりモヤシの方が好みなんだよね。
「水飲む?」
「ありがとう」
「眠い?」
 そう言いながら、早速ベッドで横になっている私に覆いかぶさってきた。
「ううん、平気」
「まあ、眠いって言っても寝かさないけど」
「……神山さんって肉食系なんだね、意外と」
「意外? そうかなー。男なんてみんなエロいもんだって」
「なんか、こう……爽やかそうに見えるのに」
 神山さんは、ふっと笑って、
「爽やかなエロ目指してるからね、俺」
 なにそれという私の言葉は、神山さんのキスに飲みこまれた。
 エロいのは否定しないのね。
 舌を絡めるものじゃなくて、唇そのものを食むような甘く、ねっとりとしたキスをされながら毛布がめくられて、脇のところで挟み込んでいたバスタオルの合わせが解かれる。
「あ、神山さん……」
「名前で呼んで」
「……え」
「宗久って呼んで」
「……宗久?」
「うん? 桃子、どうして欲しい?」
 優しい声でささやかれて肩をすくめてしまった。くすっぐたいのは耳を触られているからなのか、それとも名前を呼ばれたからなのか。
 軽くキスをされ、またすぐに、今度は深く舌まで交じりあう。本当に、この人キスが上手い。その間にも胸を揉まれ、指でその先をつまんでいじられる。
「んっ、あ……は……」
「エロい声」
「や、だ……そんなこと……はあん」
 わざわざ言わないでよという抗議は言葉にならなくて、私はたまらず腕を宗久の首に絡ませた。
「なに、胸好きなの?」
「……好き、じゃない……よわい、の……」
 宗久は妖艶な笑みを浮かべて、キスの場所を変えた。今度は舌で乳首を丹念に愛撫されて、私は両腕を宗久の手でシーツに縫い付けられ、快楽に身体をよじる。
「はあん……」
 舌を色々に使っていろんな攻め方をされて声が出る。丹念に、しつこいくらい舐められて、さっきから太ももにすっかり固くなった彼のものを押し付けられていたのを、私は足を動かしてそれを刺激してみた。
「そんなことしなくていいの」
 宗久は私の足を、自分の足の間からずらしてどかせた。そして、するりと指で割れ目をなぞるから、体よく開かされた感じ。
「うわ、すっげえ濡れてる」
「もうっ、そういうこと言わないでっ……てばあ、んん」
 確かに宗久の指の滑りで現地の状況は手に取るようにわかりますが、わざわざそういうこと言わなくていいの! ばか!
「挿れるのに問題はないくらい濡れてるけど、まだね」
「えっ」
 指で触られるのかなと思ったらそれをほとんどせずに、宗久の頭がどんどん下がって行く。
「えっ、うそ」
「嘘なわけないでしょ」
「やだっ」
「嫌い?」
「恥ずかしい」
「大丈夫だって」
 一体何が大丈夫なの。その抗議は一歩遅くて、宗久が舐め始める方が早かった。
「ひゃん……! やっ、ああ……」
 やばい。あり得ない快感にじたばたせずにはいられない。けど、宗久は私の腰をしっかり捕まえているから、そんなの抵抗に値しない。
 舐められるのは嫌いじゃないけど慣れてない。これまでの人は、私が最初嫌がったからかそれから二度としてくれなかった。でも今日は、嫌って言ったのに宗久はお構いなしで続けてる。温度の面でも強弱の面でも、生ぬるい刺激なのに独特の快感を連れてくる。
「やだっ、やだっ、いっちゃう!」
「イっていいから」
 舐めながら言うから、またそれがやばい。そんなところで喋らないで。息遣いだけでもイっちゃいそうなのに!
 一回目のエッチは会話もなく進んで、いい意味でも悪い意味でもセオリー通りというか、普通というか。結構タンパクなのかなってのが正直なところだったけど、二回目で、だてに自称『爽やかなエロ』さんではなかったことを再確認した。

  
PR
   
Comments
NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 
Copyright ©  -- Puzzle --  All Rights Reserved

Design by CriCri / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]